【ネタバレ全開】万引き家族はミスリードや伏線が多すぎるから解説・ネタバレをみてから鑑賞することをおすすめするよ~
どうも、しがない窓際サラリーマンのよしくんです。
先日、話題の万引き家族を観てきました。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲ったこともあって、公開前からすごく話題だったんですが、内容もなかなか濃いみたいで大ヒットしている今作。
そんな今作についてがっつりネタバレ兼感想を書いていきます。
この映画をおススメ出来る人は?
この映画をおすすめ出来る人は、映画好きということ前提で
・記憶力のいい人
・台詞やしぐさに対してその意図を想像するのが好きな人
・何通りも解釈することが出来る映画が好きな人
逆にお勧めできないのは、
・説明がない映画とかマジで不親切!!とか思っちゃう人(僕結構このタイプ)
・何も考えずに映画を観たい人(これまた僕もこのタイプ)
てな感じですかね。
正直観終わってマジで迷宮に迷い込んだ、っていうのが正直な感想です。
ということでもうちょっと詳しく書いていきます。
初めて観る人はどっかの解説サイトを観た方がいい
これ観終わった後に思ってんですが、どっかの解説サイトをじっくり観てから劇場に行った方がいいです。
何言ってんだ、こいつ?
と思う方も入れるかもしれません。
でもね、初見でなんの前情報も無しに観に行くと
ん?ん?
どういうこと?
ってなります。(自分がバカなだけかもしれませんが)
解説を観ていたら少しは頭を整理しながら、映画を観れたかもしれません。
この映画はたとえ結末が分かっていても、そこに行くまでのプロセスにもやもやした霧がかかっていて、その全容は蜃気楼のようにはっきりさせてくれません。
ということでこれから観る人or観てきてちんぷんかんぷんな人は下のブログとか読んどいたらいいよ。
詳細なネタバレしたくないなら下の記事もおススメです。
とりあえず簡単にあらすじを
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏じょう・かいり)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)の4人が転がり込んで暮らしている。
彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母・初枝(樹木希林)の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子・ゆり(佐々木みゆ)を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく……。引用 映画『万引き家族』あらすじ・キャスト情報・予告編【カンヌ映画祭パルム・ドール受賞!】 | FILMAGA(フィルマガ)
という話なんですが、詳しく書いていきます。
すべてを説明しない映画
設定や状況などをすべてこと細やかに言葉で説明するって映画がある一方、
この映画は情景や心情、背景を、言葉ではなく表情やしぐさでがんがん表現していきます。
むしろ言葉での説明は後半(というかほとんどラスト)になるまでほとんどないです。
そこまでは、登場人物たちのたわいもないように見える会話や、しぐさ・行動から読み取っていかなければなりません。
正直、僕はそれがたわいもない会話すぎて完全に聞き流していました。笑
孫とおばあちゃんの何気ない井戸端会議だったり、父と子の機微としたしぐさが物語の起承転結を表している、ということを念頭に置いておかないとこの映画は十分に楽しめません。
というかむしろこういう描写を楽しむのがこの映画の醍醐味でもあります。
例えば、この家族全員で海に行く場面があります。
そこでお婆さん役の樹木希林が、海辺ではしゃいでいる家族を観ながら呟くように
「ありがとう」っていうシーンがあります。
このセリフ、本当に小さい声で言っていて初回に観たときは全然気が付きませんでした。笑
でも後から言われて観ると、そんな気もするしそれ以降の展開にも合致する描写なんですよね。
こういう描写に気づければ気づけるほど、面白いと感じることが出来る映画なんですよね。
他にも松岡茉優演じる大学生ぐらいの年頃の女性は風俗で働いています。
物語の中盤でその娘の実家が出てくるんですが、めちゃくちゃ裕福そうな家なんですね。
そんな家の子がなんでぼろい家で犯罪でしか繋がれない家族と一緒に住んでいるんだ、って思うわけなんですが、結局最後までそのいきさつは分からないんですよ。
そこは観客が想像を働かせなければいけないんですよね。
数多くの伏線と一辺倒の解釈にならない描写(ネタバレ注意)
この映画を語るうえで避けては通れないのが、多くの伏線と何通りかに解釈できるやり取りの数々です。
これがこの映画の真骨頂といっても過言ではありません。
この映画で出てくる家族は、ラストで実はみんな血の繋がってる本当の家族ではないってことが明らかになります。
これがこの映画最大のネタバレです!
でもこの家族を装っている集団は、それまで本当の家族のように振舞っているんですね。というかその一瞬、その刹那は本当に家族なんですよ。
そういう風に観客に思わせるように上手く表現してるんですよね。
でもちゃんとヒントを所々に撒いている。
あれっ?
もしかしてこいつら、本当は家族じゃないんじゃないか?って思わせるような仕草や言動が所々出てくるんです。
これらは絶対に、結末を知っていた方が楽しめるんですよね。
僕なんて何も知らずに観たから、どういう意味なんだろう?とか思いながら映像が通り過ぎていっちゃいましたからね。
多分全然楽しめてないんですよ。
この映画を。
また言葉ではっきり説明されていない分、見る人によって解釈の異なる描写がたくさん出てきます。
例えば、物語の中盤でリリーフランキー演じる疑似家族の父親が城桧吏演じる息子に、「もうそろそろ親父って呼んでもいいんだぜ」っていうセリフがあるんですよ。
これって、普通に聞いたら反抗期の子供だったら誰でもあることじゃないですか。
親父って呼ばないなんて。
僕でもありましたわ。笑
で、僕もこの息子は反抗期なんだなあって最初は思ったんですが、最終的に本当に父親じゃないってことが判明するわけです。
また
こういうミスリード、もしくは色々な解釈ができる描写を多用して登場人物に深みを持たせているんですね。
血か、それとも絆か
この映画でも大きなテーマとなっている家族にとって必要なのは血か、それとも絆か。
この映画を撮った是枝監督は、あえてこの映画では答えを出さずに、見る人の人生観によって判別させるように作製しています。
監督のインタビューはこちら
【カンヌ受賞!是枝裕和監督インタビュー】血か絆か?映画『万引き家族』で問われる「家族のカタチ」とは | ciatr[シアター]
この映画は、絆によって集まっていた家族が結局最後は血と家族が生きるために行ってきた万引きや死体遺棄によってバラバラになってしまいます。
世間的には、それが正しいことだと認識されて、警察に捕まった後も正論を言われてなんも言い返せなくて…。
でもその刹那は本当に楽しかったんです。
その描写は本作中でもいろいろなところで表現されています。
例えば樹木希林演じるおばあちゃんが家族で全員で海に行ったときに、「ありがとうございました」ってぽつりと言う場面。
(何度もいうけど本当に言ってるか、言ってないか判断できないくらい小さい声で!!)
はたまた佐々木みゆ演じる少女が血のつながっている親から虐待されているところをこの家族に拾われて、本当の家族のように楽しい思い出を共有する場面。
こんなん観たら純潔主義のドラコ・マルフォイなんか真っ青になるでしょうね。笑
というのは冗談です。
結局血のつながりなんて家族になる必要十分条件ではないんですよね。
もちろん、こんな犯罪でしか繋がれない家族はだめですよ。
とまあいろいろ書いてきたけど、まとめると
一回観ただけじゃピンと来なかったんでもう一回観てきますわ!!
今回はここまで!!!
ではでは!!